法務教官を味方につけたい
親御さん、調査官さん、刑事さん、弁護士さんへ
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まず、親御さんへ。

 心配いりません。最初から無条件で法務教官はあなたの味方です。

 なぜなら、私たちは子供たちの味方だからです。

 子供たちの幸せに一番必要なのは、皆さんです。

 大丈夫です。子供たちはあなたを愛しています。たとえこじれてしまっていても。

 誰もわるくないし、その愛は本物だし、誰も疑っていません。

 何か、ちょっと、やり方や重さが間違っていたかもしれない、

 ボタンがかけ違っていかもしれない、それなら、かけ直せばいいんです。

 今までとめてきたボタンを、外すのは少しこわいかもしれません。当然です。

 でも、きっと、乗り越えられるときが来ます。

 乗り越えられる力を、子供たちが持てたとき、そばで見ていて教えますから。

 もし失敗しても、そばで見ていて支えますから。

 私たちは第三者だからこそ、他の多くの家庭を見てきているからこそ、

 そこに見えるものがあって、同時に希望の光も、そこへの道も見えることがあります。

 皆さんと子供たちは、もっと幸せになるべきです。

 信じてくれたらうれしいです。

 いっしょにがんばりましょう。

 P.S.

 法務教官の習性上、どうしても子供たちの幸せが中心になってしまい、

 「なによ、私より子供の味方して。もっと私の悩みも聞いてくれてもいいじゃない」

 とお思いになるかもしれません。

 特に少年院の先生たちは、いつもバタバタ忙しそうで、声をかけ辛いかもしれません。

 そんなときは少年鑑別所に電話してもいいんですよ。

 もちろん、弁護士さんや、地域の相談センターやこころの電話、

 心療内科だって、今の時代、普通の人でも行くものですから。

 限界を感じたら、どうか一人で悩まないでくださいね。

調査官の先生方へ。

 小さい鑑別所と、いつも仲良くしてくださってありがとうございます。

 正直、同僚の一人のように思っています。

 大きい鑑別所では、なんせお互い大量生産?なので、

 皆さんの担当の子の担任の手も空かず、

 ついお客さん扱いにしてしまいがちで、申し訳ないなとは思っています。 

 ですが同時に、話せないのを残念にも思っています。

 ありったけを「行観」「まとめ」に込めますので、受け取ってください。

 少年院では、すみません、教育にとっては完全に「お客様」です。茶も出ます。

 ですが分類担任は、皆さんをとてもとてもお待ちしております。

刑事さんへ。

 お互い厄介な時代になったものです。

 かつて義理と人情と情報網で、決闘やリンチを起こる前に食い止めて下さった例を

 私はいくつも知っていますが、バカな法律のせいで、それも難しくなりそうですね。

 小さい鑑別所と、いつも仲良くしてくださってありがとうございます。

 大きい鑑別所では、部屋がなかったり、何かと面倒な手続きをとらせたり、

 職員のように動いていただいて、申し訳なく思っています。

 もし煮詰まった際は行き帰りトークでも。現場職員は話のわかる方が大好きです。

弁護士さんへ。

 おっと!? まさかこんなサイトをご覧になっているとは思いませんでした。

 どうも皆さんには2タイプいらっしゃるような気がします。

 つまり。本当に少年の幸せを願っている方と、業務的に罪を軽くすればいいという方。

 もちろんこのサイトを知っている、つまり法務教官を使いこなしている皆様は前者、

 私の好きなタイプの方ですね。少年院まで来てくれるのも、だいたいこちらの方です。

 法律関係なく動ける皆さん、24時間一緒にいる私たち、裁判官に意見できる調査官、

 はっきり言って我々が組めば最強です。これからも少年に幸せな人生を贈りましょう。

 もし煮詰まった際は行き帰りトークでも。現場職員は話のわかる方が大好きです。

 

 一方で、後者の方には、ほとほと困っています。

 立場上、家に帰してくれ、と言われてしまうのはわかります。わかりますが、

 やったことを否認させ、黙秘させ、被害者を批判させ、家に帰らせてハイ幸せ?

 まあ、弁護士さんのお手柄にはなるでしょうが、

 そこで少年が学ぶのは、「悪いことをしても否認すればOK。捕まえたヤツらが悪い」。

 そして反省もせず、再犯し、被害者に復讐し、今度は刑務所に行く少年の悲しさよ。

 人権を振りかざして保護観察になるのと、

 罪を心から反省し、親とも仲直りをし、みんなに認められて保護観察になるのと、

 結果は同じでも、少年の人生にとっては同じじゃないんだ!

 確かに、反省させるのは手間がかかるし、警察や裁判所をいじめた方が簡単だ。

 忙しいのはわかるよ、少年事件は金にならないのもわかる。わかるけど、わからないよ。 

 しかもこっちのタイプほど、我々に口も利かない、挨拶すらしない。敵だと思ってんのかな。

 混乱する少年を助けようにも、「余計なことを言うな権利侵害だ」じゃ、手出しもできない。

 同じ弁護士なのに、どうしてこんなに違うんだ…。

 で。

 …マスコミに暴露はしないけど、忘れたいが忘れられない奴がいるからついでに吐いとく。

 殺人を犯した少年に、自分だけが味方で警察も私たちも裁判所も敵だと教えこみ、

 反省もさせず、裁判が始まるそのときに、少年に笑ってピースして見せた奴。

 あの子は少年院に行っても周りすべてが敵だと思ってる。殺人は正義だと今も思ってる。

 反省などするはずがない。「自分を不当に幽閉している」敵の言葉など聞くはずがない。

 そして唯一の味方のはずのお前は、審判が終わった途端、忘れたように会いに来ない。

 お前は仕事を終わったが、少年の人生はめちゃくちゃだ。

 お前のことは法務教官人生をかけて許さん。万が一見てたら、あの子と被害者に謝れ。

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