IN鑑別所!  忙しい日勤日 ←INDEX

 6:50 起床。

            今日は早く出勤しなければならない。しかし、そのために早起きする気はさらさらない。

 6:58 てきとーな朝飯。

            ということで、今日は朝からカロリーメイトという事態になっている。
            マックチキンの日もある。
            要は、食いながら着替えをすればいいだけで。

 7:15 あわてて出勤。

            見ろ。本気になれば25分で出勤できるのだ。
            これは寝癖でなくてナチュラルテイストを意識したおしゃれなのだ。
            靴下の左右も違えてみたし、ひげもワイルドに決めてみた。

 7:45 ボロ鑑に到着。

            出勤したらすぐに、出廷・執行・入所・退所の予定をチェックする。
            …おいおいおい、なんだよこの入所数は。
            金曜日は土日分のかけこみ入所があるから、忙しいのである。

 7:50 それはともかく退所の準備。

            少年の私物は、たとえ封筒一枚たりともなくしてはいけない。
            なので確実に台帳を作って管理している。
            今日少年院に行く子や、出廷で帰るかもしれない子の荷物を、前もって準備する。
            就業時間中にやっていては間に合わないからだ。
            しかし、たまにくだらないものを延々と持ってるやつがいるのには閉口する。
            なあ、このBB弾34個って…いるのか?
            カラオケ屋のスタンプカードって…いるのか?

 8:50 自分の勤務を始める。

            準備完了したものを、それぞれ執行・出廷の職員にパス。
            実は、今日の私の配置は、午前中が体育。午後が面会だったのだ。
            執行・出廷の職員だけでは終わらないから、そこは阿吽のチームワーク。

 9:00 少年に朝のあいさつ。

            少年の部屋と服の検査。
            というと簡単に思えるが、なにせ量がすさまじい。
            非番職員に手伝ってもらってやっと完了。

 9:30 ぷち体育。

            裁判を受ける前の少年は、法律上は「推定無罪」なものだから、
            少年院ほどビシビシしごくことはない。
            サッカーや卓球や軽い筋トレなんかを、楽しく行う。

11:30 少年の昼飯。

            ハンバーグにシチューにポテトサラダもつくのか。いいなあ。
            あっ てめえ派手に残しやがって国民の血税をなんと心得るか!!
            言いたいとこだが少年院とは違うからなあ…

12:00 職員のひるやすみ。

            しまった、弁当を注文するのを忘れていた。
            困ったときの引き出しカップラーメン。レンジカレーもあるぞ。ああわびしい。

12:30 食事交代。

            昼休みの1時間をまるまる使えることなんて珍しくて、
            たいていこうやって誰かが少年の寮に残っている。

13:00 少年の午後の日課開始。私は面会の係。

            少年にも親はいる。面会にも来る。
            変なまねをしないか、親子関係はどんなかんじか、それを見ているのが仕事。
            簡単そうに見えるけれど、
            それにはもちろん、少年が親に殴りかかるのを止めたり、
            親が少年に蹴りかかるのを止めたりするのも含まれていて、
            あまりに面会が多いから部屋の真ん中に仕切りを置いて、
            2組の面会風景を右の目を左の目でそれぞれ見ていなきゃならないこともある。
            え?両方一気に暴れたらどうするかって?
            そりゃ…どっちか諦めるしかないよな。職員不足はこんな所にも影響する。
            とにかく、面会係はこんなことを延々と一日や半日やってます。

17:30 面会時間終了。さあ残業のはじまりはじまり。

            寮のことは夜勤職員に任せ、少年寮から去る。
            そしてこっからロスタイム、事務仕事をしながらの入所待ち。
            優雅なアフター5など夢のまた夢。7時のデートもキャンセルだ。
            こうして法務教官はフラれるのだ。なんと切なき修羅の道。

17:40 第一陣少年が到着。入所受け。

            警察の勾留所にいた者、社会からいきなり捕まって来た者。
            学生気分で「ハァ?知らねーし」とか言おうものなら、
            そりゃあもう喜んでスパイスを利かせますとも。
            鑑別所の先生には、少年院の先生を経てやってきた職員も多く、
            そんなアホをてぐすね引いて待っているものである。

17:50 第二陣少年が到着。入所受け。

            さっきの残りだ。現場は戦場のようである。
            警察は届けたら終わりかもしれないが、届けられるこっちの身にもなれ!
            ていうか家裁!5時に帰りやがってちっとはこっちに気を使え!

18:00 第三陣が遅いのでひたすら待つ。

            今日も帰れないな…。

19:30 ようやく到着。入所受け。

            鑑別所の基本姿勢は「待ち」である。
            いくら仕事をがんばっても帰れない。すべては家裁次第なのだ。

21:00 終わった。でも事務が残っている。

            いい加減疲れ果て、ろくな文章が書けないのでさらに長引く。

22:30 帰宅。

            あーあ、明日も仕事だなあ。めんどくさいなあ。

24:00 就寝。

            ばたんきゅー。

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